2009年12月21日月曜日

池の復元


















 安田邸の庭にある池は水のない池で、那智黒石が敷き詰められていました。それが長い時間の中で土や落ち葉が堆積して雑草が伸び放題になり、那智黒石も土の中に埋もれてしまいました。土を掘り出し、石をきれいに洗って戻そうというのが一昨年来の計画でしたが、夏場は藪蚊が多く作業ができません。今年の秋から実行して大掃除の20日、一部の復元が完成しました。

 掻きだした土は、建物の北側通路に埋め、石は洗っても洗っても石の山が小さくならない根気仕事でしたが、完成をイメージしながら少しずつ作業を進めました。

 幸い12月5日には企業ボランティアの方々が大勢お手伝いに来てくださり、今日は東京農大の服部先生と学生さん5人も応援に来てくださり、一気にはかどりました。

 池の東半分に洗った石を敷き詰め、昔の姿がよみがえりました。西半分は、一部、底が落ち込んでいる部分があるため、コンクリートで補修をしたあと、石を戻すことになりますが、まだ洗っていない石もたくさんあるため、あとはのんびり作業をすることになるでしょう。

2009年12月16日水曜日

風雅な屏風をいただきました。




 安田楠雄・幸子夫妻の次女・香名子さん(故人)の同級生の金井和子さんから、大和絵の「四季図屏風」をご寄贈いただいた。両面使いで、反対側には、墨絵で京都の高台寺、琵琶湖の浮見堂が描かれています。

 金井さんは高校時代、よく安田邸に遊びに来ていたので、若いころの幸子夫人のお姿がまぶたに焼き付いています、とのこと。美大を卒業して日本画を描いていますが、懐かしい旧安田邸で使って欲しいとのことです。お茶会のときなど、飾らせていただきたいと思います。

2009年12月13日日曜日

旧安田邸のクリスマス


 年内の公開最終日は、12月19日(土)ですから、クリスマスの時は冬季休館中になります。でも、今月初め頃からささやかなクリスマス飾りをしています。

 応接間のサイドテーブルに、プレゼントを作るサンタクロースの人形を置き、その周りを点滅するライトで飾っています。ライトにはボランティアさん手作りのホオズキが被せてあって、温かいオレンジ色の光を放っています。ちょっとしたアイデアで素晴らしいクリスマス飾りになりました。

2009年12月11日金曜日

ハランの花


 緑の大きな葉が特徴のハランは、どこでも見られる植物。旧安田邸でも前庭や中庭に植わっています。このハラン、以前は、葉が茶色くなってみすぼらしかったのですが、植物に細やかな愛情を注ぐボランティアさんが来てからは、まめに水やりをしたり、肥料をまいたりして手入れをしてくださっているので、今では色つやもよくなっています。

 そのハランの根元に花が咲きました。初めはなんだか分からず、実かしら?と言っていたのですが、調べたら花でした。ただ、ふつう5月ごろに咲くらしく、冬の季節に花をつけたのは、お世話してくれるボランティアさんに恋して狂い咲きしたのかも・・・

 また、前庭のリュウノヒゲも根元をみると宝石のラピスラズリのようなきれいな青い実をつけています。紅葉が終わっても小さな植物の営みを見る楽しみが残っています。

2009年12月6日日曜日

ハクビシン御用!






 2階天井が濡れていたことから、ハクビシンがいることが分かった旧安田邸。当初、庭に捕獲器を設置しましたが、入らず、2階屋根裏に設置。最初の点検では入っておらず、もう、いないのかもしれないと思っていた矢先、5日の点検でハクビシンが捕獲されました。大人のハクビシンです、かなり重かったです。クリっとした眼がかわいいですが、爪が鋭く、ウオーという唸り声は猛獣のようです。



文京区はハクビシンが多いらしく、業者さんが、安田邸にくる前にお茶の水女子大近くの家で一頭捕獲したのを見せてもらいましたが、こちらはまだ幼児という感じで鼻筋もくっきりとは白くなっていません。痩せて目もくぼんで細くなっていました。捕獲器にかかってから時間が経過していたのでしょう。



戦時中は、ハクビシンの毛皮が軍服の襟などに使われ、養殖された時期もあったそうです。野生動物なので、人家のないところで幸せに暮らしてもらいたいものですが・・・。

2009年11月27日金曜日

モミジが見頃です。


 例年、旧安田楠雄邸のモミジは12月上旬に見ごろを迎えますが、今年は少し早目です。写真は11月26日の様子です。赤と緑のハーモニーをお楽しみください。

2009年11月20日金曜日

11月18日は安田幸子夫人の生誕100年




 旧安田楠雄邸を財団法人日本ナショナルトラストに寄贈することを決断された、安田楠雄夫人の幸子様の生誕100年の日が11月18日です。PCトラブルでアップするのが遅れましたが、18日は残月の間書院に、幸子夫人が二十歳でご結婚されたときにお持ちになった婚礼調度一式を展示。婚礼調度は三面鏡、裁縫箱、小物箪笥、衣桁、姿見で、いずれも黒漆に雪の結晶の文様がちりばめられています。雪輪の中には金漆でご実家の家紋「芙蓉紋」を覗かせています。またパネルにはお写真や100年前の朝日新聞の記事のコピーを展示いたしました。


 この日に来館されたお客様全員にお抹茶とお菓子を差し上げ、ともにお祝いいたしました。偶然ですが、倉敷や津和野からお越しになった方からは、いい思い出になりましたと喜ばれました。2歳の坊やがお抹茶をおいしいと呑んだのも驚きでした。


 この展示、一日だけのつもりでしたが、来週水曜日25日まで、つまり二日分延長したいと思います。


2009年11月2日月曜日

新しい結界ができました。


 旧安田邸では、これまで竹を棕櫚縄で結んで結界を作って置いていましたが、棕櫚縄が畳にすれることや低すぎて結界の役目を果たさないなど、新しいものを制作したいと思っておりましたが、「となりの高村さん展」の初日の朝に、新しい結界が届きました。

 高さ20センチ、幅は60センチと90センチの2種類です。天竜杉の自然木で無塗装の実に美しいものです。これまでいくつかの結界を参考に見てきましたが、どれも大きすぎることや、いかにも「入るな!」と声高に言っているような感じで好感が持てませんでした。今回のものは、安田邸の建築にしっくりなじむ美しいもので、以前、傘立てを作ってくださった「いろはに木工所」の山下純子さんの手になります。

 ここに写っているのは、2階の書院に置いたものですが、後ろは、高村光雲さんの彫刻机です。

「となりの高村さん展」は11月8日(日)までです。

お見逃しなく

2009年10月26日月曜日

二階から雨漏り?

 先日、ボランティアさんから、天井が濡れているとの報告を受けました。小雨なのに濡れるとは、屋根裏に水が溜まっているのかと心配になりました。その後、屋根屋さんが来て、詳細に調べてくださいましたが、異状なし。念のため屋根裏に入っていただくと、小動物が棲みついているとのこと。さらに専門業者に見ていただくと住人はハクビシンでした。 ハクビシンはネットで調べるとつぶらな瞳のかわいい子だ。だが、結構攻撃性が強いらしい。さらに困ったことには、いつも同じ場所で糞をするそうで、気がつかないと糞の重みで天井が落ちることもあるそうな。先日は、とうとう室内に入り込みセコムやパトカーが出動してご近所に迷惑をかけました。近日中に駆除することになっていますが、美しい天井の竿縁にシミができてしまった。

2009年8月8日土曜日

防空壕公開と安田邸90年








 8月8日(土)は今年2回目の防空壕公開の日で、戦中戦後の千駄木界隈の写真展示を熱心に見ていただきました。

 この日のもう一つのイベントは、今年築90年になる安田邸と発売90年のカルピスとのコラボ企画で、お子様向け、「カードクイズ」を行い、参加者にはカルピスをプレゼントしました。数枚のカードの中から1枚を引き、そこに描かれている物や場所を当てるというものです。

 地味な公開と楽しいイベントの同時開催でしたが、350人を超える参加者で賑わいました。ちょうど数日前に区内全戸配布の広報紙「スクエア」(文京アカデミー刊)の表紙が安田邸だったこともあって注目されたのでしょう。

2009年7月23日木曜日

安田邸生まれの蝉









 安田邸の玄関前には大きなスダジイが植わっていて、まわりには石組みがあり、そこにヤマブキやハランなどが植わっています。ボランティアさんが、そのハランに生まれたばかりの蝉を見つけました。三枚目は、ハランの葉の下側に抜け殻が、上には羽化したばかりのセミがいます。後の2枚は、それぞれをアップしました。セミの命は、はかないものと聞きますが、どうぞ、お達者で!

2009年6月21日日曜日

建物点検は雨の日に!




 本格的な雨のシーズンに入った今日、大工さんや建築家の方と安田邸の不具合のチェックをしました。内部の点検の後、気になって外回りを見ると、雨が当たらないはずの2階予備室西側の折り戸が濡れています。屋根からの縦樋のマスから水があふれて雨戸を濡らしているのです。男性二人が樋のマスから金棒で突っついたところ、樋に卵が入って、詰まっていたのです。
他にも、中庭に面した女中室北側の細めの樋に卵が詰まっていました。


 安田邸は月に2回、ボランティアさんが樋の掃除をしてくれます。このおかげでどれだけ建物が救われているかしれません。でもカラスが来るのは毎日のことですし、2階の樋まではチェックできません。やはり雨の日に点検するのが異変を見つける近道のようです。

2009年6月16日火曜日

表門竣工披露







 先週の土曜日13日に表門竣工のお披露目をいたしました。待ちに待ったお披露目で、ご近所の方やボランティアさんら、50名近い方々がお集まりくださいました。日本ナショナルトラスト理事長の挨拶のあと、表札が掲げられ、お囃子の音色とともに開門。

 表門は古い材を最大限使い、傷んだ部分をとりかえるという文化財修理のやり方で修復しましたが、新しく取り替えた部分の方が多かったです。この日は、古い材の一部を展示しましたが、雨やシロアリの害が広がっておりました。それでも、周囲は木の匂いがするのですから、たいしたものです。表通りから見ても、やっと安田邸の風格に相応しい門になりました。
 この日のお披露目にあわせて、ボランティアさんが、玄関に野の花を活けてくださいました。

2009年5月28日木曜日

旧安田楠雄邸ルール

  旧安田邸では、独自に入館される際のルールを決めています。
一つは、必ず靴下を履いていただくこと。もう一つは大きなお荷物をお預かりすること。
 特に夏になると素足の方が増えますが、大勢の方が素足で畳の上を歩くと、傷みが早くなりますし、畳の汚れはお客様にとっても
気持ち悪いのではないかと思います。
 大きなお荷物をお預かりするのは、90年前の襖が無傷で残っていますし、土壁はとてもデリケートです。バッグが当たって傷をつけたくない、いい状態で次の世代に渡したいという思いからです。
このルールのために、貴重品を入れる小袋を用意しています。ボランティアさんの手作りや、お客様がお持ちくださったりして枚数が増えました。

 このルールは、人手も要りますが、文化財公開のスタンダードになればいいと思います。
 どうぞ、ご協力をお願いいたします。

2009年5月27日水曜日

玄関までのアプローチもきれいになりました。


旧安田邸の表門が修復され、玄関までのアプローチも砂利が入ってきれいになりました。落ち葉の掃除が大変ですが、サクサクとした砂利の感触を楽しんでいます。

2009年5月4日月曜日

表門の修復工事がほぼ完成




今年1月中旬から取り掛かっておりました旧安田楠雄邸の表門と塀の修復工事が、ほぼ完成し、4月29日からの五月飾り公開は、風格のある表門から、お入りいただいています。


去年2月の春一番の突風で木戸の開閉が不自由になり、塀も危険な状態になっておりましたので、やっと念願がかなったという気がします。


工事現場のようなフェンスが取り除かれ、修復された表門を目の当たりにしたボランティアの皆さんは、門の外でしばし見とれたり、顔を近づけて木の香をかいだりして、なかなか中に入って来ませんでした。


今回の修復工事は、オリジナルの使える材料はなるべく使い、新しい材は伝統的な工法で古い材とドッキングさせています。工事自体が伝統技術の継承という意味も持っています。


門の修復はご近所の方々からも待ち望まれていたようで、多くの方が喜んでくださっています。


まだ若干の修正や砂利を敷き詰める作業が残っていますが、5月中旬には竣工の予定です。

2009年2月18日水曜日

花嫁のれん展の絆・・・七尾に行ってきました。
























































去年10月の花嫁のれん展でご縁ができた石川県七尾、一本杉通りを8人で訪問しました。のれんの語り部をされた一軒一軒を訪問して、お店にまつわる様々なお話をお聞きすることができ、町の歴史の奥深さを実感しました。もと万年筆屋さんの面白い建物、石臼でお茶を挽いて自分でお抹茶を点てたり、お醤油搾りを体験(見るほどには易しくなかった!)したり、一本杉通りは「花嫁のれん」だけではない、魅力的な町でした。他にも仏壇屋さん、蝋燭屋さん、昆布屋さん、お菓子屋さん、時計屋さん、呉服屋さん、薬屋さんなどで旧交を温めました。夜の一本杉通りは街灯がなく、各家の前におかれた御影石の行灯の灯りが幻想的でした。街灯ではなく、行灯にしたのは、星空がよく見えるように・・・とのことでした。

2009年2月4日水曜日

風邪にご用心!




 花の絵が描かれた染付けの器、なんだか分かりますか?とお見せすると、今まで正解は一人もいませんでした。今ではほとんど見かけることはありませんが、うがい用の器なんですよ。蓋付の湯のみのお湯でうがいをし、取っ手のついた朝顔のような容器にすすいだお湯を捨てるのでしょう。それにしてもおしゃれな図柄です。風邪を引いたとき、こんな器でうがいしたら早く直るかもしれません。


 旧安田邸には、このような今では見かけない生活の道具が残っているのが魅力の一つです。

2009年1月18日日曜日

ピアノの中は美しい




 去年、修理の方法や範囲を確認するため、調律師の方にピアノを見ていただきました。手際よくパネルや部品を外すと中から現れたのは、まるで現代美術作品のよう。弦を張ったり部品を取り付けた必然の形の美しさにしばし見とれました。なかなかピアノの中を見る機会は少ないと思いますが、どうぞ、お楽しみください。


 そして、今年はこのピアノを使って音楽会を開きたいと思います。安田幸子さんがお元気な頃、ピアノとチェロとバイオリンによる、ピアソラの名曲演奏会を開いたことがありますが、今年はどんな音楽会になるか、お楽しみに。

2009年1月11日日曜日

座布団カバー


旧安田邸は、イベント用に小さな座布団が60枚あります。絣柄でちょっと居酒屋風。雅なイベントには似合わないかな、とボランティアさんが無地の生地3色でカバーを作ってくださいました。その残り布で、今度は、ボランティアスタッフの控え室でもある「書生室」に大きなキルトの敷物を作ってくださいました。お正月休みに丹精してくださったのが、公開初日に届き、北風の強い日でしたが、温かさをもらいました。手仕事のものは、いいですね。