2008年12月11日木曜日

モミジとイチョウの競演




今年の紅葉がいまひとつ冴えなかったのは、赤く色づいている一方で、枯れて葉が縮んでしまったものがあったり、タイミングのズレがあったように思います。それとも期待が大きすぎてしまったのか・・・
それでも一本一本の木は美しさを誇っていました。

大平秀和さん撮影のものは意外なアングルで木々を引き立てています。

2008年12月3日水曜日

モミジが見ごろ







 旧安田邸のモミジの見ごろを聞かれますが、まだ燃えるような赤にはなっていません。でも赤、黄色、緑のグラデーションがとてもきれいです。まずは写真で見て、それからご自分の眼でお確かめくださいませ。お待ちしています。

2008年10月30日木曜日

名工永徳斎と名勝旧安田楠雄邸


10月16日から22日までの「花嫁のれん」展には一週間で3200人の来館者があり、七尾の方々と嬉しい悲鳴をあげましたが、11月1日から9日までの永徳斎の人形展もその余波が感じられ、緊張しています。

 安田家から土地や建物と一緒に寄贈された雛飾りや五月飾りは見事なものです。これを作った三代永徳斎は、20年あまり、アメリカで仕事をし、帰国後、安田家のお人形を作ったと思うと、驚きです。アメリカ時代に生人形を博物館のために作っていたため、その技を保持することが出来たようですが、様々な労働の姿を人形に作りながら、その指はとても細く繊細です。リアルな作品を作りながら、その手はまさに人形の手をしています。

 私が感動したのはヤマトタケルの人形で、強さばかりが強調されるヤマトタケルですが、女装して相手を油断させて熊襲を打つ、一瞬の表情を捉えた人形は憂いを帯びた男前です。

 今回は初代、二代、三代の作品が一同に会す、またとない展覧会です。お見逃しなく。混雑の場合は建物保護のため入場制限をすることがあります。また、大きな荷物は襖や壁を傷つけます。身軽におこしください。靴下もお忘れなく。

2008年9月29日月曜日

花嫁のれん展


 加賀友禅の「花嫁のれん」が10月16日から22日まで、安田邸のお座敷に10数枚掛けられます。

花嫁のれんというのは、加賀、越中の一部の地域に伝わるしきたりで、結婚の日、女性は花嫁のれんを持参し、婚家先の仏間に掛けます。そののれんをくぐって婚家先のご先祖様にお参りをしてから結婚式が始まります。一生に一度だけ掛けて、その後は箪笥の置く深く仕舞われていましたが、最近、それにスポットが当てられるようになりました。

 今回の展覧会は、伝統的な商家の町並みが続く、能登七尾の一本杉通りの人たちとの交流から実現したもので、花嫁のれんを通じて東京と能登の交流が継続することを願っています。

 水、土の週2回の公開が旧安田邸のルールですが、今回は1週間の連続公開にチャレンジ!ボランティアの皆さんも張り切っています。

 お越しをお待ちしています。

七尾の名産のお買い物もできます。ただし、最高にうまい海の幸は、現地に行って味わってください。

2008年9月15日月曜日

ガラスの影を楽しむ・その2


7月にサンルームの床に映るガラスの影をご紹介いたしましたが、今回は、残月の間床の間の幻影です。大松友紀子さんのコレクションからご紹介いたします。

2008年8月30日土曜日

北村四海の女性像


 いよいよ芸術の秋!

旧安田邸でも9月いっぱい大切にしている彫刻作品を公開いたします。大理石彫刻の第一人者として知られる北村四海の女性像です。北村四海(1871-1927)の後援者が安田善次郎だったことから、

旧安田邸の応接間には、四海の作品が以前から飾られていましたが、土地・建物と一緒にこの像も寄贈されました。恥じらいを感じさせる初々しさが魅力的な作品です。

2008年8月24日日曜日

ヤブミョウガ


 今、旧安田邸の庭はヤブミョウガが群落をなしています。
かなりの勢いで繁茂していますが、つややかな葉に白い清楚な花を咲かせるので、抜き取らないでいました。去年の旧安田邸の庭は、毒のあるヨウシュヤマゴボウが次々と芽を出して戦いでしたが、巨大な根を掘り出したところ、今年は本当に少なくなりました。それに変わって芽を出したのがヤブミョウガです。

 ヤブミョウガはツユクサ科、ヤブミョウガ属。
 和名は藪茗荷、学名Pollia Japonica .

 茶花にも使うそうですが、食べられるのがうれしいですね。葉の開かない若葉を採って塩茹でし、さらしてサラダに入れたり炒め物、すまし汁にして食べるそうです。試す価値ありです。

2008年8月16日土曜日

今年も防空壕公開


 今年は4月に続いて2回目の防空壕公開を8月9日(土)に行いました。防空壕というと、庭に穴を掘って作るのが一般的ですが、安田邸では、残月の間の広縁の畳を上げると、その下に階段があって、防空壕に下りることができます。防空壕の床は土を固め、天井はコンクリート、壁は切石をきれいに積んでいます。庶民のものとは違う立派な防空壕です。
戦争を知らない世代がほとんどになった今、逆に戦争の悲惨を伝えていくことが大切になっています。今回から、安田邸近辺の戦時中の写真を集めてパネル展示をしました。防空壕公開は、平和について考える日になります。
余談ですが、旧安田邸から北に3分のところにある千駄木小学校、その隣にある文林中学は、水泳の北島康介さんの母校です。千駄木界隈は金メダルのうれしさに満ちていますが、旧安田邸も元気をもらっています。

 写真は、防空壕からの階段を上がってくるところを庭から写したものです。<写真:大松友紀子>

2008年8月8日金曜日

傘立てが出来ました。


 旧安田邸には傘立てがなく、雨の日はバケツや竹製の物干しなどを代用していました。

何とか、旧安田邸にふさわしいものを・・・と気に掛けていましたが、自由学園明日館にあるものが、すっきりして使いやすそうでした。

 これをアレンジしたものを・・・と思っていたところ、5月に行われたしのばずブックストリートの古本市に安田邸のボランティアの方々が本を持ち寄ってくださり、これの売上金を制作費に充てることにしました。

 谷中のいろはに木工所の山下純子さんが栗材で製作してくださり、8月6日に完成して玄関横に据えられました。すばらしい出来栄えです。もちろん、雨の日は傘立てですが、晴れの日は蓋をするとベンチになるというスグレモノです。

 集中豪雨は困りますが、傘立てを使いたいので、ひと雨欲しいです。

2008年8月4日月曜日

冷えたお抹茶をどうぞ


 旧安田邸のボランティアさんにはお茶人が何人もいます。その中でも渡邉誠三さんはご家族全員でお茶をなさるので、お茶会のときは大活躍されます。

 最近は、正座が苦手という方が多いので、旧安田邸で用意した椅子に合わせて、桐の小机を5台作ってくださいました。さすが安田家お出入りの表具屋さんだっただけに上品な出来栄えです。このしつらえの前で冷えたお抹茶を点ててお客様にお出しします。猛暑の中、清涼の味わいが喜ばれています。麻の白絣に袴をつけてのお点前は涼しげで、写真がないのが残念ですが、安田邸の公開は、ボランティアさん一人ひとりの持ち味で支えられています。

2008年7月26日土曜日

ガラスの影を楽しむ


 ボランティアの大松さんは、旧安田邸で特別な楽しみを発見して、来館者の方にもおすそ分けをしています。旧安田邸は型板ガラス、膠ガラスなど、ガラスがふんだんに使われていますが、普通に使われている板ガラスのゆがみの影の揺らぎが作り出す造形を楽しんでいます。夕刻、西日がガラス越しに差し込むと、サンルームの床や残月の間の床の間の聚楽壁に光が微妙な揺らぎを映し出します。このような揺らぎの美を発見できるのもボランティアの楽しみのうちです。

今日の午後のサンルームの光の造形をご覧ください。

2008年7月17日木曜日

おばあさんの贈り物


 先日、安田邸に見学に来た方から、手作りの小袋4枚をいただきました。

旧安田邸では壁や襖を傷つけないように大きなお荷物はお預かりするため、貴重品などを入れる小袋

を用意しています。「うちの母は、巣鴨のお地蔵さんに行って生地を買うと小袋をたくさん作って、人に差し上げるのを楽しみにしているんですよ・・・」と。見学の方が多い時は足りなくなる時もあるので、大助かりです。

 時々、見かけない柄のものが、置かれていることもあるので、そっとお持ちくださる方もいるのかもしれません。皆様、ありがとうございます。

2008年7月13日日曜日

庭の亀型蚊遣り




 安田邸の庭は大きな石組み・・・枯山水とスダジイやカヤ、イチョウなどの大きな樹木とサザンカ、モミジで覆われています。枯山水の石組みの間に面白いものを発見!

 亀の形をした蚊遣りが石組みの間に埋め込まれるように置かれているのです。陶器でできていますが、外側はコケがついて、まるで庭の石組みの一部のように見えます。亀さんの甲羅には小さな穴があけられた蓋があり、煙が抜けるようになっていて、ユーモラスな暮らしの知恵です。

2008年7月2日水曜日

今年も七夕飾り




 今日、玄関に七夕飾りをしつらえました。ご近所から竹を頂戴し、来館者の方々が書いた短冊や輪かざりなどを吊るし、風に揺れるさまを楽しみました。いくつになってもわくわくします。
 今週の土曜日5日は、七夕にまつわる朗読会を行います。晴れれば庭の石組みに俳優の方2人が腰掛、その足元には豆電球の天の川を作り幻想の世界へ誘います。


 問題はお天気!いつも雲が逢瀬の邪魔をしますが、今年はどうなるのでしょう。七夕にてるてる坊主も下げるべきでしたね。

2008年6月28日土曜日

アオゾーくん


 先日、旧安田邸の裏庭の物置に行こうとしたら、大きな青大将が横たわっていました。1.5メートル以上はありそうでした。びっくりして他の人に声をかけたら、裏木戸から逃がしてあげたようです。
 この話をしたところ、青大将は害がないから住んでもらったほうがいいと、残念がっていました。

 それから数日後、門の内側に一文字に青大将の姿が・・・帰ってきたんだね。というわけでこれからは安田邸の住人(蛇)として大事にすることにしました。

 せっかくなのでアオゾーくんと名づけました。
写真は大松さんが撮ったアオゾーくんです。写真は苦手らしく、隣の家に逃げ込むところですが、頭かくして尻隠さずです。 青い肌がきれいな蛇です。

2008年6月21日土曜日

旧安田楠雄邸in旧安田楠雄邸


 旧安田邸では、武川暖子(はるこ)さんによる「旧安田楠雄邸in旧安田楠雄邸」が開催されています。武川さんはボランティアに来ている旧安田邸が大好きで、芸大の卒業制作のテーマに安田邸のサイン計画を選びました。3月に東京都美術館に展示された作品を、現場である旧安田邸に実際に置いて展示しています。

 門前に置く御影石の表示板から、室内に置くアクリルの表示板まで、また透明バッグや携帯ストラップになるようなかわいらしいグッズまでさまざまなものをデザインしています。柏舎紋(安田家には七つ輪違いの家紋以外に、桐廼舎、松廼舎・・・などの屋号の家紋があり、千駄木の安田家は柏舎という屋号です)の大きな絹のれんは、風に揺れてかろやかです。

今月末までなので、25日と28日でおしまいです。お見逃しなく!

2008年6月19日木曜日

うれしい買い物


旧安田邸では、庭の落ち葉や雑草を、去年の初夏から腐葉土にしています。一年たって黒いいい土ができましたので、袋に詰めて門の前に出しておくと、ご近所の人や通りすがりの方がお持ち帰りになります。ありがたいことです。

この腐葉土づくりは、時々「返し」という作業をした方がいいのですが、スコップしかなく、何とか鋤を手に入れたいと思っていたところ、やっと入手できました。インターネットオークションで1000円で落札!本格的な鍛冶屋の手仕事で見事なものです。今はスダジイの落ち葉がすごいですが、これも見事な腐葉土に変身するのでしょう。

2008年6月16日月曜日

遅ればせながら・・・


このところすっかりご無沙汰しました。旧安田邸の2月下旬から5月上旬まではイベント続きで怒涛のような日々・・・そこにカメラの故障のダブルパンチで、久しぶりに書き込みをします。

6月の中旬に「五月飾り」なんて、と思われるでしょうが、やはり旧安田邸の宝物のひとつ、五月飾りの写真は載せたいです。去年は、床の間にフラットに飾りましたが、今年は壇の上に飾りましたので、さらに見栄えがして、細かい職人さんの技が光ます。
旧安田邸の五月飾りとお雛様は、第三代永徳斎の作品ですが、今年は初代永徳斎の没後100年、第二代の没後80年の節目の年です。秋には、この旧安田邸で「名工永徳斎と名勝旧安田楠雄邸」展を開催いたします。春に見逃した方は、秋にお越しください。詳細はもう少し近くなりましたら・・・

2008年3月8日土曜日

夜桜と薩摩琵琶の鑑賞


この10年ですっかり背が高くなった旧安田邸の枝垂桜・・・今年は、夜桜を見ながら川嶋信子さんの薩摩琵琶を鑑賞していただこうという趣向です。夕刻から夜の安田邸は大正時代の照明がほの暗く室内を照らします。その雰囲気もお楽しみください。



2008年2月25日月曜日

お雛様を飾りました


旧安田邸のお雛様は、安田楠雄・幸子夫妻の長女(昭和7年生まれ)と次女(昭和16年生まれ)の二つのお内裏様が飾られる七段飾り。日本橋十軒店(現、室町3丁目)にあった永徳斎の作品です。今年は長らく不明だった唐銅(からかね)の花いれが飾る直前にみつかり、長女美佐子さんの初節句の写真とと同じ花入れに桃の花と菜の花が活けられました。

2008年2月4日月曜日

安田邸のおひなまつり


 今年も安田邸の残月の間の床の間にお雛さまを飾ります。ひな段の最上段にはお内裏様が2組並びますが、昭和7年生まれの長女美佐子さんと昭和16年生まれの香名子さんの分になります。両方とも日本橋十軒店にあった人形師永徳斎のものです。香名子さんの分は戦時下で贅沢なものは作れない時代に入っていましたが、美佐子さんのものは、まさに名品といえるもので、2段目以降は美佐子さんのものを主に飾ります。3月1日と2日はお抹茶の接待もありますので、どうぞお楽しみに。

2008年2月1日金曜日

かじったのは誰?






安田邸の建物の修復工事が終わって2年近くなりますが、早くも補修が必要な箇所が・・・土壁をくりぬくように小舞窓がありますが、鋭角にキリッとしていた土壁の縁がぎざぎざになっています。誰がかじったのだろう。もしかしたらカラスの仕業!修復の設計監理をした角野さんによると、蜂が土を少しずつ持っていたのだそうです。鉢の巣を作る際の接着剤代わりにしているそうで、まさか!と思いましたがホンとの話。カラスよごめん。

2008年1月23日水曜日

幻想的な雪の安田邸




1月23日、安田邸は公開以来初めての雪景色になりました。雨戸を開けながら、しばし、その美しさに見とれました。


朝、団体見学キャンセルの電話があり、今日はどなたもいらっしゃらないかもしれないと、玄関脇の書生部屋で、配布資料を折ったり、ガイド用マニュアルの英訳をしたり、お雛様の日にカンパを下さった方に差し上げようと折り紙でお雛様を作ったり、打ち合わせをしたりと、めいめいが和やかな時間を過ごしました。


結局、今日の見学者はゼロ。雪、みぞれ、雪で、寒さのため町中が静まり返った一日でしたが、こういう日もあるのでしょう。

2008年1月21日月曜日

安田邸で初めての防火訓練




1月26日は、文化財防火デーです。法隆寺金堂が焼けたあと、文化財を火災から守るために設けられました。


今回は一週間前の19日。参加したボランティアさんは15名。消防署の方のお話に熱心に質問し、119番通報の仕方や、火災では放火が一番多いことなどを教えていただきました。


消火器の使い方は、半分くらいの方は体験済みで余裕の・・・というより、玄関前のスダジイの根元の石組みに思いっきり水をかけて、訓練なのか掃除なのか分からない状況でした。


その後は、建物の中に入り、実際に警報機を鳴らし、誘導や初期消火、通報の訓練をしましたが、こちらは右往左往でちょっとお粗末でした。でも、これにより何をしなければいけないのか、問題点が浮き彫りになり、これからの対応の仕方のイメージができました。




2008年1月17日木曜日

応接間に冬の二曲屏風を置きました


安田邸には四季折々の調度品があります。
昨日、遅ればせながら冬の屏風を出しました。
二曲屏風で、寄贈される前、応接間に置かれていたものです。

絹地に雪を被った南天が刺繍され、雀が赤い実をついばもうとしている図柄で、縁は斑模様の竹でなかなか優美なものです。

冬の安田邸はとても寒いですが、見学コースの中ほどにある茶の間にホットカーペットを敷きましたので、しばし温まっていただけます。
お越しをお待ちしています。